瞬考 〜メカニズムを捉え、仮説を一瞬ではじきだす〜

瞬考仮説を一瞬ではじき出すための思考法

・ 少数の「選ぶ側」:ビジネスプロヂューサー
・ 圧倒的多数の「選ばれる側」:スペシャリスト
 ビジネスプロデューサーになるためには、人・モノ・金など、あらゆる資源を集め、統合していく必要があるが、その起点になるのが「瞬考」なのだ。
 他人の心を動かせるような仮説、「相手が知らなくて、かつ、知るべき」仮説を瞬時に唱えられる実力がなければならない。
 その実力が起点になって、誰かが力を貸してくれるようになる。
 「誰が、何を知っているか」をきちんと把握してネットワークを拡張していけば、そこから誰も思いつかないような仮説を瞬時に導き出せるようになる。

1 ) 仮説が湧くのは「知っている」から

アナロジー

 ある事象、事物、自分の知識や経験を「何か似ているもの」に例えること。一見無関係な二つのものを見つけて、そこに関係性を見つけること。

 データや事実に基づき、客観的に論議する。現場で起きている事実は、経営陣は知らないことが多い。「相手が知らなくて、かつ、知るべきこと」の仮説を絞り出すことがビジネスパーソンとしての付加価値。

2 ) 一瞬で仮説をはじき出す「瞬考」のポイント6つ

1、「相手が知らなくて、かつ、知るべきこと」を絞り出す

 →「あなたがやるべきこと」が明確に見える。

2、事象が起きたメカニズムを探り、アナロジーを活用

メカニズムの構成要素

 それぞれが影響を与え合っている。

  • 過去に行ってきた活動の累積
  • 取り巻く環境
  • 現状の打ち手→現在起きていることに直結

アナロジーの活用

 過去の成功体験に縛られて、新たな打ち手が実行できないケース
 同じメカニズムと認識して、次を予測できるケース

3、インプット量が仮説を導き出す速度と精度を決める

 多数のインプットは瞬考の土台→事例の共通部分・非共通部分を知る。
 共通部分からメカニズムを導き出すこともでき、豊な発想につながる。

4、一を聞いて十を知るではなく、十を調べる

 毎回調べた際の知識がコツコツと積み重なっていく。

5、エクスペリエンス・カーブを意識する

 2倍の経験→コストが80%に(効率が2割良くなる)
 4倍の経験→コストが64%に

6、インプットの具体的な方法論

 クライアント・業界の歴史を軸にインプットする。その会社の成功体験・失敗体験を把握できる。どのようなメカニズムの思考に陥りやすいか、どのようだとスムーズに進むか、ぼんやりわかってくる。

3 ) 瞬考の実践例

 まず、インプットを大量に行う。ベンチャー企業のビジネスモデルをできる限り頭に入れる。
 直前のプラットフォームでの勝者が、次のプラットフォームで勝つことは非常に難しい。新たなプラットホームへの移行に躊躇してしまう。
 新たなプラットホームにおける先行プレイヤーは、規模を拡大し、累積経験を増やし、規模の経済性とエクスペリエンス・カーブの恩恵を受けることになる。

ファンクラブビジネス

 ファンがファンを呼ぶ。広告をガンガンするというよりは、口コミで広がる。

レコードの復活

 アメリカではレコード盤がCDの売上を追い抜いた。
 日本でも2021年、レコードの売上が前年比174%となり、レコードが復活。
 デジタル主流の中、アナログならではの「別の価値」で訴求

ネットワーク時代の勝ち筋

 良質なネットワークに組み入れてもらうためには差別化が必要。

BTS

 曲作りを細かく分担している。

Linux型

 エンジニア同士がネットでつながり開発できた。

みんなが飛び込んでくる池を作る

 集まる仕組みを作る。
 自分から才能を探しに行くのではなく、みんなが集まる池を作りパワーバランスで優位に立つ。オーディション、〜大賞、など。

4 ) スペシャリストとビジネスプロデューサー

スペシャリスト

 最低基準は、丸投げされても成果を出せること。
 中途半端な実力では、いつ呼んでもらえるかわからない。差別化が必要。
 AIの進化により、スペシャリスト自体の代替可能性が出てきている。

ビジネスプロデューサー

 スペシャリストを集結し、統合しながら仕事を進めていく。
 スペシャリストが仕事を完遂できるよう、彼らの能力や資質、人間性を見極めたうえで、タスクを因数分解しておく必要がある。

 全ての起点となるのが、「信頼」である。信頼は、一生懸命さから生まれる。

著者

山川隆義(やまかわ・たかよし) 
 ビジネスプロデューサー。 
 京都大学工学部および同大学精密工学修士(生産システム工学 専攻)。 
 横河ヒューレット・パッカード株式会社(現在の日本ヒューレット・パッカード合同会社)、ボストン コンサルティング グループ(BCG)を経て、2000年に株式会社ドリームインキュベータ(DI)創業に参画。2005年取締役副社長、2006年から2020年まで代表取締役社長。 
 BCG、DIを通じ、25年に渡り、数多くのコンサルティングに従事。同時に、多数のベンチャー企業のIPOに貢献。現在はビジネスプロデューサーとして、エンターテインメント、証券、産業財、ヘルスケア、IT分野の企業における社外役員及びアドバイザーとして活動するとともに権利マネジメントビジネスを実践。

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