アドラー心理学 (個人心理学): オーストリア出身の精神科医 アルフレッド・アドラーによる。
フロイト、ユングと並ぶ三大巨頭の一人
1 ) 目的論
例)引きこもり フロイトの「原因論」両親からの虐待、家庭の事情などのトラウマが原因
「外に出ない」という目的が先にあって、その目的を達する手段として、不安や恐怖という感情をこしらえている。→トラウマの完全否定
今のあなたが不幸なのは、自らの手で「不幸であること」を選んだから。
=あなたが変われないのは、自らに対して「変わらない」と決心を下しているから。
=「このままの私」でいることの方が楽であり、安心だから。
アドラー心理学 = 勇気の心理学 = 自分が変わるための心理学= 所有の心理学ではなく、使用の心理学
勇気づけ:今の自分を受け入れて、前に踏み出す勇気を持ってもらう。「合格すれば人生バラ色になる。」「転職すれば全てうまくいく。」
2 ) 全ての悩みは「対人関係の悩み」
優越性の追求
向上心
生まれた時から、誰もが持っている。競走の意思ではない。
劣等感
向上心と対をなすのが劣等感。
ただし、バネにできる。健全な劣等感は他者ではなく「理想の自分」との比較。
劣等コンプレックス
ネガティブになり言い訳に使う。
優越コンプレックス
偽りの優越感 自慢する人 不幸自慢(不幸を理由)
怒り
他者を屈服させるための道具。
一瞬の感情だが、出し入れ可能な道具。
怒り → 権力争い → 自らの力の証明 → 復讐 → 当事者同士の解決が困難になる。
「自分が正しい」と確信した瞬間、すでに権力争いに足を踏み入れている。
3 ) 承認欲求の否定
課題の分離
自分の課題と他者の課題の分離
あらゆる対人関係のトラブル
他者の課題に土足で踏み込むこと。自分の課題に土足で踏み込まれることによって起こる。
誰の課題かを見分ける方法
その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?
「馬を水辺に連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない。」=自分を変えることができるのは、自分しかいない。
放任主義を推奨するものでは決してない。
「信頼関係を築く」「相手を信じる」「精一杯の援助をする」:自分(あなた)の課題
差し伸べれば手が届く、けれども相手の領域には踏み込まない、適度な距離を保つ。
対人関係のカードは、「わたし」が握っている。相手が握っているのではない。
4 ) 対人関係のゴールは「共同体感覚」
他者への関心
他者を仲間だと見なし、そこに「自分の居場所がある」と感じられること
アドラー心理学では、「縦の関係」を否定し、全て「横の関係」を提唱。
他者を評価しない。叱っても、褒めてもいけない。→感謝する。
感謝の言葉を聞いた時、自らが他者に貢献できたことを知る。
「私は共同体にとって有益なのだ」と思えた時、自らの価値を実感できる。
意識の上で対等であること、そして主張すべきは堂々と主張することが大切。
- 自己受容:できない自分をありのままに受け入れ、できるようになるべく、前に進む。
- 他者信頼:他者を信頼するにあたって、見返りを求めない。
- 他者貢献:仲間である他者に何らかの働きかけをする。→自分の価値を実感するためにこそ
岸見一郎
哲学者。1956年京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専門の哲学(西洋古代哲学、特にプラトン哲学)と並行して、1989年からアドラー心理学を研究。精力的にアドラー心理学や古代哲学の執筆・講演活動、そして精神科医院などで多くの“青年”のカウンセリングを行う。日本アドラー心理学会認定カウンセラー・顧問
アドラー心理学の実践はなかなか困難。
生き方が変わるのは、年齢の半分が必要。40歳ならプラス20年で60歳、20歳ならプラス10年で30歳までかかる。