トラクション 〜ビジネスの手綱を握り直す〜

「トラクション(行動に移すこと)」:地面を掴むことで生み出される推進力
 企業成長のために不可欠な6つの具体的なノウハウ(EOS)が明らかにされている。

  1. 第1章 起業家のための経営システム(EOS)〜6つのモジュールを強化する〜
    1. 1) ビジョン
    2. 2) 人
    3. 3) データ
    4. 4) 課題 克服すべき障害のこと
    5. 5) プロセス ビジネスを行う「ウェイ(流儀)」のこと
    6. 6) トラクション
  2. 第2章 つるから手を離す
    1. 1) 真の経営チームを築く
    2. 2) 天井にぶつかるのは避けられない
    3. 3) 会社は1つの経営システムでしか運営できない
    4. ︎4) オープンマインドで、成長志向で、弱みを曝け出さなければならない
  3. 第3章 ビジョン 〜 従業員はあなたの言葉を理解しているか? 〜
    1. コア・バリューは何か?
    2. コア・フォーカスは何か?
    3. 10年目標は?
    4. マーケティング戦略
    5. 四半期の石は?
    6. 課題は何か?
  4. 第4章 人 〜 自分の周りを優れた人で囲む 〜
    1. ピープル・アナライザー
    2. スリー・ストライク・アウトルール
    3. アカウンタビリティ・チャート
    4. GWC
    5. 権限の委譲
    6. スケーラビリティ
    7. 解雇について
    8. 三つの問い
  5. 第5章 データ 〜 数値で冷静さを取り戻す 〜
    1. スコアカード
    2. スコアカードの3つの目安
    3. 全員が数字目標を持つことで得られるメリット
  6. 第6章 課題 〜 決める! 〜
    1. 課題リスト
    2. 課題解決トラック(IDS)
    3. 課題解決の十戒
    4. 個人の問題を解決するためのセッション
  7. 第7章 プロセス 〜 会社のウェイ(流儀)を見つけよう
    1. フランチャイズプロトタイプ
  8. 第8章 トラクション 〜 アイデアを行動に移す
    1. 組織の石を決める
    2. 石に関する注意事項
    3. ミーティングのリズム
    4. 四半期ミーティングのアジェンダ
  9. 第9章 すべてのモジュールを合わせてEOSを実現する 〜 壮大な旅
    1. 組織のチェックアップ
    2. EOSはなぜ効果があるのか
    3. すっきりブレイク
    4. キラキラしたもの
    5. EOSプロセスの醍醐味

第1章 起業家のための経営システム(EOS)〜6つのモジュールを強化する〜

1) ビジョン

 成功を収めている経営者は、強力な「ビジョン」を持ち、さらにそのビジョンを周囲に伝える方法を知っている。
 ビジョン・トラクションシート:従業員に一つの目標に目を向けさせ、レーザー光線のように集中させる方法を学ぶ。

2) 人

 「正しい人」と「正しい席」
 「ピープル・アナライザー」:組織における人材採用、解雇、評価、表彰
 「アカウンタビリティ・チャート」:組織内での役割や責任を明確に定め、組織を正しく構成し直す。
 「GWC」:採用に不可欠な三つの絶対条件を定める。
  その仕事を理解していること、やる気があること、遂行する能力があること。

3) データ

 「スコアカード」:組織にとって重要な5〜15の数値が含まれた週次レポート。定期的にチェックし、問題に事前に気づいて対処。定期的にその数字を意識。

4) 課題 克服すべき障害のこと

 課題はほんの数種類しか存在しない。同じ課題が繰り返し浮上してくる。
 十分に時間をさいて課題を解決すれば、将来的に何倍もの時間を節約できる。
 「課題解決トラック(IDS)」

5) プロセス ビジネスを行う「ウェイ(流儀)」のこと

 「3ステップ・マニュアル・クリエーター」:重要なプロセスを特定し、取り組み文書化する。

6) トラクション

 成功している大多数の経営者はトラクション(実行力)のある人。
 実行力をつけるには2つの規律が必要
  一つ目:組織の全員が「石」(90日間の優先事項)を持つこと。
  二つ目:「ミーティングのリズム」「10点満点ミーティング」

 〜 目標は、90日ごとに進歩すること 〜
 成功を収めているビジネスマンは明確なビジョンを全員と共有しながら業務を行う。適切な人事配置をする。一握りの数字をい毎週チェックすることで事業の状態を把握する。オープンデ正直な環境のなかで、課題をすばやく見つけて解決する。プロセスを文書化して、全員にそのプロセスを順守させている。各従業員のために優先事項を定め、各チームの中で高い信頼性、コミュニケーション、結果責任を確保している。

第2章 つるから手を離す

 ほとんどの企業経営者は、つるから手を離す覚悟ができないがために次のレベルにたどり着けない。変化は怖い。手に入れたものを手放すことに不安を覚えるが、今までの考え方を変えて会社を自立させなければならない。
 「適切なビジョン」「適切な構造をつくる」「正しい人を正しい席に座らせる」この3つができれば、会社は進化する。そのための4つの信条を以下に示す。

1) 真の経営チームを築く

 会社のビジョンを共有する人たちから成るチームを作る。全リーダーが結果責任を負い、それぞれの部門を主導し、オープンに話し合わなければならない。経営チームは社員の前で一枚岩にならなければならない。

2) 天井にぶつかるのは避けられない

 組織、部門、個人の3つのレベルで天井にぶつかる。選択肢は成長しかない。ほとんどの企業は外的な成長を目指して奮闘するが、内的な成長も将来的に素晴らしい企業へと導く。内部に注力している会社の方が外的にも早く成長するものだ。
 [天井にぶつかっても生き延びるリーダーシップ5つの能力]
・単純化
 組織が成長すると複雑さも増すため、モデル、分かりやすい資料、チェックリストを使って、プロセスと手順を単純化する。
・権限委譲
 天井を突き破れるかどうかは、権限を委譲できるかどうかにかかっている。「つるから手を離す」は、このことを意味する。ただし、手放すのにふさわしい業務か確認が必要。
・予測
 長期的な予測と短期的な予測がある。やっかいな問題を後回しにするようなことが長く続けば、会社全体が張りぼてとなってやがて内側から壊れる。
・システム化
 人事プロセス、マーケティングプロセス、営業プロセス、業務プロセス、顧客維持プロセス、会計プロセスなどをシステム化する。
 コア・プロセス:何が「コア・プロセス」に相当するのか決める。簡略化し、テクノロジーを導入し、文書化し、微調整を加える。
・構造化
 「アカウンタビリティ・チャート」を使い、組織を拡大させやすい構造を導入し、全社員の役割と責任を明確に定義する。

3) 会社は1つの経営システムでしか運営できない

 経営には、不変のビジョン、1つの意見、1つの文化、1つの経営システムが必要。EOSは、全従業員に共通の認識を持たせる経営システムだ。組織を動かす唯一の経営システムを会社に導入しなければ、才能あるリーダーですら能力を発揮できない。

︎4) オープンマインドで、成長志向で、弱みを曝け出さなければならない

 新しい意見に積極的に耳を傾ける必要がある。知らないと認めること。積極的に助けを求め、支援を受け入れること。自分の強みと弱みを把握し、特定の業務であなたよりも腕の立つ人に主導権を握らせることだ。

第3章 ビジョン 〜 従業員はあなたの言葉を理解しているか? 〜

 従業員にビジョンが見えていないと、リーダーはストレスが溜まり、スタッフは混乱し、ビジョンは達成されずに終わる。全従業員に同じ方向を向かせることができれば、どの業界でも圧倒的な優位に立てる。

コア・バリューは何か?

 コア・バリューとは、”会社にとって不可欠で不変の指針となる原理”のこと。3つ〜7つぐらいにとどめるのが良い。文化や人としての本当の姿を明らかにする。これを基準に従業員の採用、解雇、評価、報酬、表彰を決定する。
 例)株式会社トライエッジ
  ・人から好かれ、周りの人を大事にする。
  ・好奇心と探究心に溢れ、アイデアを出せる。
  ・スピードを持って物事を推進する。

コア・フォーカスは何か?

 経営チームの仕事は、「コア・フォーカス」を決めて、そこから逸脱させないことだ。時間と資源を使ってその分野で突き抜ける。
 [コア・フォーカスを決める方法]
  「会社が存在する理由」と「会社のニッチ(得意とする分野)」を明確に定義する。

10年目標は?

 今から10年後、会社にどうなっていてほしいか?
 何十年も存続している会社は、大胆な長期ビジョンを持っている。実現したいことについて明白なイメージを持たなければならない。

マーケティング戦略

 集中的に努力すれば、適切な事業でもっと売り上げや契約を増やせる。マーケティング戦略を練り、差別化され、理想の顧客の目に留まりやすくなる。
〜 マーケティング戦略を構成する4つの要素 〜
1、ターゲット市場
 理想の顧客の定義 デモグラフィック(年齢、職業など)、ジオグラフィック(住所、勤務地)サイコグラフィック(ライフスタイル、行動など)ターゲットを絞る。
 そぐわない見込み顧客のために貴重な時間を浪費しない。
 クライアントから見込み顧客を紹介してもらう。
2、3つのユニーク
 「差別化要因」「提供価値」に相当する。会社が唯一無二に見えるような3つの特質を決める。それ以外の顧客に迎合する必要はない。
3、証明されたプロセス
 顧客が取引に信頼と安心感を覚える。業務を図表化して競合会社よりも突出する。
4、満足保証
 保証は、業界全体に関わる問題を突き止めて、その問題を解決するチャンスとなる。
 潜在顧客が感じていそうな大きな欲求不満、懸念、不安を経営チームと共に自由に出し合い、それをリストアップする。
 例)ドミノ・ピザ 「30分以内に配達できなかったら無料」

四半期の石は?

 今後90日間で重要なことは何か?こうした優先事項を本書では「石」と呼ぶ。

課題は何か?

 目的地に行くのに邪魔をする障害を全て突き止める。ビジネスの成功は、課題を解決できる能力にかかっている。
 説得力のあるビジョンで従業員を鼓舞する。ビジョンを理解しない者を雇い続けると、従業員全員に迷惑をかけることになる。

 人間は何かを初めて聞いたと認識するまでに、7回同じことを聞かされる必要がある。良きリーダーとして、一貫性のあるメッセージを伝え続ける必要がある。

第4章 人 〜 自分の周りを優れた人で囲む 〜

「正しい人」を「正しい席」に座らせる。
 正しい人とは、会社の「コア・バリュー」を共有する人のこと。
 ユニーク・アビリティ:社内で自分のスキルを発揮できて情熱のある業務を担う能力のこと。個人のコア・フォーカスのようなもの。
 経営者に必要なことは、コアバリューとユニーク・アビリティを基準にして全従業員を雇い、解雇し、評価する。

ピープル・アナライザー

 組織に正しい人がいるか否かを判断するために設計されたツール。その人が、コア・バリューにどれだけ忠実かを基準に、各人を評価する。

スリー・ストライク・アウトルール

 基準をクリアできない人の対処法。
 まず、ピープル・アナライザーの結果をその人に伝えて改善のチャンスを与える。
 ワン・ストライク:課題や期待を話し合い30日間猶予を与える。
 ツー・ストライク:改善が見られなければ、もう一度話し合い、さらに30日間猶予を与える。
 スリー・ストライク:変わる可能性は低いので会社から去ってもらう。

アカウンタビリティ・チャート

 今後6〜12ヶ月で組織をさらに成長させるためにはどんな構造が良いか?
[基本原則]
1) 将来を考えること。過去を振り返っても、現在の状況にとらわれてもいけない。そんなことをすれば判断を誤る恐れがある。
2) 現在の会社、現在の役割、エゴは切り捨てて考える。
3) 会社よりも高い視点に立ち、見下ろすようにして会社を客観視し、会社全体の長期的な利益のために意思決定を下す。
[ インテグレーター ]
 会社の主要な機能を調和させながら統括する人のこと。
 組織を運営し、日常的に起きる課題に対処し、3つの機能を統合するユニーク・アビリティを持つ人のこと。会社を一つに団結させる接着剤。
[ ビジョナリー ]
 インテグレーターの上に位置する。ビジョナリーとインテグレーターは水と油のように違う。
 ビジョナリーは、週に十通りの新しいアイデアを思いつく。多くは非常にクリエイティブだ。感情に敏感で、従業員がどう感じているか、常に気にかけている。
 インテグレーターは、人を統率したり、管理したり、人に責任を持たせるのがうまい。障害を取り除いて、主要な機能を担う人々が業務を行えるようにする。
[アカウンタビリティ・チャートの構造]
ビジョナリー → インテグレーターの元に以下が存在
・営業・マーケティング : 営業、マーケティング
・オペレーション : 配送、プロジェクト管理、顧客サービス
・バックオフィス : 財務、管理、情報技術(IT)、人事

GWC

 Get it(業務を理解できる)、Want it(業務に対するやる気がある)、Capacity to do it(業務を遂行する能力がある)
 席を与えられて、役割を果たせなかった人は、業務を理解していない、やる気がない、能力がない、のいずれか。
 一人の人が二つの席に座っても構わないが、一つの席に二人を座らせてはいけない。組織を立ち上げたばかりの頃は、創業者が全ての席に座る。創業者が全ての機能を兼務する。

権限の委譲

 組織が成長したら、自分のユニーク・アビリティを活かせる業務に就く必要があるし、同じことは経営チームにも言える。仕事量が多すぎる人、労働時間の120%が必要な人は、余分な20%の仕事を誰かに任せる必要がある。あなたの仕事は、その人がユニーク・アビリティを発揮できる職場環境にあるかをチェックすることである。

スケーラビリティ

 組織の成長に伴って、アカウンタビリティ・チャートも絶えず進化し変わっていく。
 複数の人が同じ仕事に従事する場合は、新しい枠を増やすのではなく、その役割を担う人員の数を入れる。

解雇について

 組織は植物に似ている。枯れそうになった植物はたくさん水をやればいいというものではない。しおれた枝を切り落とすことで息を吹き返すことも多い。パフォーマンスを発揮できない人をセミナーに通わせたり、ハッパをかけるのは枯れそうな植物に水をやるのと同じだ。
 スリー・ストライク・アウトルールを参考にする。

三つの問い

 1) 我が社がレベルアップするのに適切な構造だろうか?
 2) 全員が正しい席に座っているか?
 3) 全員が仕事をきちんとこなすのに十分な時間があるか?

第5章 データ 〜 数値で冷静さを取り戻す 〜

 生産的な議論や意思決定の根拠を提供してくれるのは、事実に基づくデータだけであると認識しなければならない。会社の脈拍を正確に測り、効果的な行動を取れるようにする。有意義な数字目標を持つことで、従業員は方向性をしっかり認識し、生産的に働くようになる。

スコアカード

 測定し、見える化できるものは向上する。重要業績評価指数(KPI)など。
 損益計算書は遅行指標であり、過去は変えられない。しかし、スコアカードは未来を変えられる。
・ステップ1
 週単位で追跡しなければならない数字
 週間売り上げ、現金残高、週単位の営業活動、顧客満足度、顧客の問題、売掛金、買掛金、クライアント計画、生産状況 などの項目。
・ステップ2
 責任者の決定
 毎週数字を報告する義務を負う人(営業・マーケティング部門の部長など)
・ステップ3
 週ごとに期待できる目標
 スコアカードの目標には「1年計画」に直接結びつく数字を書き込む。
・ステップ4
 使う!
 毎週数字を集計し、スコアカードをレビューして「ビジョン」の実現に向けて順調に進んでいることを確認する。

スコアカードの3つの目安

 1) スコアカードの項目は、週単位の活動基準の数字であって、損益計算書に記載されているような専門的な数字ではない。マーケティング活動で獲得した見込み顧客の数、顧客に連絡した回数、予約を入れた商談数、提案数、契約数等。
 2) スコアカードは事前対策に秀でたツールであり、問題が実際に起きる前に予測するのに役立つ。
 3) スコアカードを使った管理方法は、危険信号が点った不調なカテゴリーに対応するのに役立つ。

全員が数字目標を持つことで得られるメリット

 1) 数字を使うと、マネージャーと部下の間の曖昧で主観的なコミュニケーションを省ける。
 2) 数字は結果責任を伴う。
 3) 責任がある人は数字目標を高く評価する。
 4) 数字目標は透明性と約束を生み出す。
 5) 数字は競争を生み出す。
 6) 数字は結果を生み出す。
 7) 数字はチームワークを生む。
 8) 問題を早く解決できる。

第6章 課題 〜 決める! 〜

 成功している企業は問題を何週間、何ヶ月、何年も放置することはない。
 人間は、難しい決断を先延ばしにしがちだ。成功できるか否かは、問題解決能力にかかっている。失敗の主な原因は、決断力不足、つまり先延ばしにすることだ。
 いつも時間がないのは、やるべきことがたくさんあるからではなく、未解決の課題を抱えているからだ。間違った決断を下すよりも、優柔不断でいることの方が失うものは多い。

課題リスト

 会社の問題はいつも数えるほどしかない。多いように見えるのは、同じ問題が何度も発生しているからだ。
 最初にすべきことは、従業員が問題を指摘しやすい職場環境を作ることだ。
[ 組織の課題リスト ]
1) 「ビジョン・トラクションシート」の課題リスト
 90日以上保留できる課題。
 新製品のアイデア、主要な人事問題、テクノロジーの必要性、オフィスの移転、運転資金不足、評価基準の策定など。
2) 経営チームの週次課題リスト
 緊急性が高い課題。週次から四半期にかけて解決する課題。部署の問題は扱わず、一般的にもっと戦略的な性質の課題を扱う。
3) 部署別の課題リスト
 その週に生じた部署に関わる課題。顧客に営業電話をかけること、プレゼンテーション、契約の締結、マーケティングなど。

課題解決トラック(IDS)

・ステップ1:原因を追求する(Identify)
 真因は人にある場合がほとんど。口にしにくい問題を話し合う必要がある。信頼関係が重要で、互いにもっと弱みをさらけ出して、素直に話し合えるようにならなければならない。
 3種類の課題
  a 解決しなければならない根本的な課題
  b 情報に関する課題
  c アイデアや機会に関する課題
・ステップ2:議論する(Discuss)
 聖域のないオープンな雰囲気が大切。相手を打ち負かすディベート大会ではない。議論は、自分のためではなく、会社全体の利益のためにある。
 脱線に注意!:会議が時間の無駄に終わる第一の理由が脱線。
・ステップ3:解決する(Solve)
 決断は、明確なビジョンに基づいて行われる。
 根本的な問題の解決には時間がかかる。もし解決できなければ、将来付随的に起きるかもしれない問題を排除でき、すべての部署がかなりの時間を節約できる。
 三種類の解決策
  a 課題を解決する時に行動が必要なもの。
  b 単なる認識の問題で、全員がその認識に同意すれば終結する課題。
  c さらなる調査や事実が必要なケース。調査して次のミーティングでの発表を要する。

課題解決の十戒

 1) 全員一致で決めるべからず
  最終責任者が決断し、あとは一致団結して前進するしかない。
 2) 弱気になるべからず
  実行は常に容易なのではない。強い意志と確たる決意で、自ら進んで難しい決断をする。
 3) 決断力を発揮すべし
  数百人の億万長者はすばやく決断し、決断したことは滅多に変えなかった。
 4) 又聞きの情報に頼るべからず
  課題に関わる人がいない場合は、全員が参加できる日にミーティングを再設定する。
 5) 会社全体の利益のために闘うべし
  エゴ、肩書き、感情、これまでの信念は忘れる。組織のビジョンに集中する。
 6) すべてを解決しようとするべからず
  優先順位の高いものから順に、一つずつ取り組む。
 7) 課題の解決には三つの選択肢がある
  その問題を無視するか、終わらせるか、変えるか、のいずれか。
 8) 短期的な苦痛を選ぶべし
  後まわしにせずに今すぐ問題を解決する。
 9) 危険を冒すべし
  最も恐れている課題こそ、一番議論して解決せねばならない課題だ。
 10) やってみるべし
  解決策を提案するということ。あなたのアイデアは名案かもしれない。

個人の問題を解決するためのセッション

 二人の間だけの不和が、機能的で結束力のあるチームを作ることを阻む唯一の障害になることもある。このセッションの進行役は第三者がやる方が良い。
 1) 各人に、相手の強みを3つと弱みを3つそれぞれ考えてもらい発表する。
 2) すべての問題をリスト化して解決策を出す。
 3) 解決策からタスクを抽出してリスト化する。
 4) 30日後にミーティングを行い、タスクが完了したかを確認する。
 健全な会社であっても、誰もが親友のように仲良くなれるわけではない。社内で生産的な人間関係を構築するのは簡単ではない。

第7章 プロセス 〜 会社のウェイ(流儀)を見つけよう

 世界最大級の不動産会社であるワイカート・リアルターズの創業者ジム・ワイカートは、成功の秘訣を訊かれたとき、ただ一言「一貫性です。」と答えた。
 独自のビジネスモデルを構成している「コア・プロセス」を理解する必要がある。
 哲学者クルト・ゲーテル 「システムの中の人は、そのシステムを理解できない。」
 一般的な組織は、一握りのコア・プロセスによって運営されている。

フランチャイズプロトタイプ

 システムを明確にして磨きをかければ、思うままに会社を動かせる。コア・プロセスを特定して「文書化」し、従業員が順守すれば、「ウェイ(流儀)」ができる。明確なウェイがあれば、すぐに企業価値が上がり、組織に及ぼすあなたの統制力が強くなり、選択肢が増える。
・コア・プロセスを特定する
 人事プロセス:人材を探し、見つけ、採用し、管理し、昇進させ、解雇する。
 マーケティングプロセス:ターゲット市場にメッセージを伝え、見込み顧客を生み出す。
 営業プロセス:見込み顧客を本物の顧客に変える。
 オペレーションプロセス:製品を作ったり、顧客にサービスを提供する。
 会計プロセス:お金の流れ、および入出金を全て管理する。
 顧客接待プロセス:サービス提供後に、顧客をケア・フォローする。
・コア・プロセスを文書化するには
 結果の80%を生み出す20%の手順を文書化する。
 文書化を始めると、隠れていた何かが見つかる。例えば、不要な工程など。
 あなたがいなくても運営できる会社にする必要がある。
・パッケージにし全員実行可能にする
 全員がプロセスに従うことで、最終的に皆の人生がより良くなる。
 会社をシステム化すれば、問題が発生しても容易に解決できる。問題が起きても、すぐに欠陥のある工程に戻ってその工程を修正または省くことができる。
 企業価値は上がる。オーナーがいなくても利益を生む会社こそが企業の買い手が求めるもの。

第8章 トラクション 〜 アイデアを行動に移す

 「トラクション」をつけるということは「ビジョン」を実現することだ。
 アイデアは非実現的な夢想からおまれるものだ。
 組織に規律と結果責任を持ち込めば、従業員が少々気詰まりな思いをする。しかし、トラクションをつけるためには避けて通れない道である。

組織の石を決める

 石:会社にとって最も重要な3〜7つの優先事項、つまり90日以内にやるべきことを決める。
 会社を前進させるには、90日間で一歩進む。
 石は、短期的な集中力を作り出す。
 石は、具体的で、測定可能で、達成可能なものにする。
 石の期限を設定する。四半期が一般的。
 石の責任者を決め、会社の石を組織全体で共有する。

石に関する注意事項

 ・ゴミを入れれば、ゴミが出てくる。間違った石は間違った方向に進む。
 ・石をマスターするには半年が必要。
 ・熱意が冷める。

ミーティングのリズム

 コミュニケーション、結果責任、チームの健全性、業績の向上を可能にする質の高いミーティングが目標。
・90日の世界
 人間はおよそ90日ごとにつまずき、軌道から外れ、集中力を失う傾向がある。
 四半期ミーティングのリズムに従って課題を解決し、会社のために90日の世界を作る。

四半期ミーティングのアジェンダ

・切り替え
・前四半期の振り返り
・ビジョン・トラクションシートの見直し
・次の四半期の石を設定
・重要な課題に取り組む
・次のステップ
・締めくくり

第9章 すべてのモジュールを合わせてEOSを実現する 〜 壮大な旅

組織のチェックアップ

1) ビジョンは明確に文書化されていて、社内の全員に周知され、共有されている。
2) 明確なコア・バリュー(基本理念・価値基準)に基づき従業員を採用し、評価し、報酬、解雇を決定している。
3) コア・フォーカス(中核的なビジネス)は明確である。
4) 10年目標(長期的で大きいビジネス目標)は明確で、全員に共有されている。
5) ターゲット市場(理想的な顧客)が明確である。
6) 3つのユニーク(差別化要素)が明確である。
7) 従業員は全員が正しい人である。
8) 経営チームはオープンで正直で、お互いに信頼し合っている。
9) 全従業員が定期的に開催される週次ミーティングに参加している。
10) 毎週の数値基準/測定可能な基準 を把握するため、スコアカードを使っている。
11) 予算を毎月モニタリングしている。

EOSはなぜ効果があるのか

・90日の世界
・週次ミーティングのTo Doリスト
・ビジョン・トラクションシート
・従業員に数字目標の設定
・コア・バリュー
・ミーティングのリズム
・課題解決トラック(IDS)

すっきりブレイク

 ほとんどのリーダーは日常的なルーティン業務に忙殺されたり、疲れ果てたり、没頭したりして多くの時間を過ごし、明日以降のことを考える余裕がない。
 定期的にオフィスから1時間ほど抜け出してみる。オフィス以外ならどこでも構わないので、自分にとって最適な場所ですっきりブレイクを取ろう。思考が邪魔されない場所へ行くこと。
 白い紙とペンを持って机に向かうことをお勧めする。このシンプルなエクササイズで正しい考えが頭に浮かんでくる。

キラキラしたもの

 「キラキラしたもの(魅力的なビジネスモデル)」に気を取られるかもしれない。
 一つ目の規律:あなたの「ダイヤモンド鉱山」に集中しよう。
 二つ目の規律:既存のビジネスに支障をきたさないよう、あなたの業務時間が短縮されても「インテグレーター」に迷惑がかからないかを確認する。
 「キラキラしたもの」に気を取られたときは、二つの規律のうちの一つを選び、それを一貫して実践しよう。

EOSプロセスの醍醐味

 醍醐味はその行程にあるのであって、目的地にはない。つまり、一流企業を構築する行程の醍醐味は目的地にない。
 顧客のために作り出す価値にワクワクし、ビジネスという舞台で戦うことに純粋な喜びを感じ、構築したシステムに誇りを持とう。あなたがすべての歯車を回さなくてもいい会社〜自立的な組織〜を構築すれば、もっと自由になれる。

著者

Gino Wickman ジーノ・ウィックマン 

 起業家がビジネスから得たいものを得る手助けをすることに情熱を燃やすコーチ、コンサルタント。EOS(起業家のための経営システム)の開発者であり、EOSワールドワイドの創始者でもある。起業家・経営者がワーク・ライフ・バランスを保ちながら組織の勢いを増すことができる包括的な経営システムを作り上げた。中小企業の現場に赴いて経営チームがEOSを導入するサポートすることに多くの時間を費やしている。

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